2019年9月22日日曜日

短歌のお話のなかで紹介した短歌(2019年4月)

白い手紙がとどいて明日は春となるうすいがらすも磨いて待たう    斎藤史『魚歌』

サキサキとセロリ嚙みいてあどけなき(なれ)を愛する理由はいらず    佐佐木幸綱『男魂歌(合同歌集)』

ハンバーガーショップの席を立ち上がるように男を捨ててしまおう    俵万智『サラダ記念日』

スパゲティとパンとミルクとマーガリンがプラスチックのひとつの皿に  穂村弘『水中翼船炎上中』

べくべからべくべかりべしべきべけれすずかけ並木来る鼓笛隊  永井陽子『樟の木のうた』

いづこより凍れる(らい)のラムララムだむだむララムラムララムラム    岡井隆『天河庭園集』

たとへば君 ガサッと落葉すくふやうに私をさらつて行つてはくれぬか    河野裕子『森のやうに獣のやうに』

ママレモン香る朝焼け性別は柑橘類としておく いまは    小佐野彈『メタリック』

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短歌のお話のなかで紹介した短歌(2020年1月)

バビロニア巨大彫刻群の 間 ( あひだ ) ゆくはたくましき精神に触るる如く 愉 ( たの ) し  五島茂『海図』 二年半ぶりの空港行方不明の女の子のポスターの新しいレイアウト   山川藍『いらっしゃい』 傘をさす一瞬ひとはうつむいて雪にあかる...